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東京高等裁判所 昭和59年(ネ)303号 判決 1988年4月25日

主文

一  本件控訴及び附帯控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。

1  控訴人茂木健一、同株式会社金星水産星屋商店は、各自、

(一)  被控訴人高橋ひさに対し、金四二一万六五九七円、及び内金三九一万六五九七円に対する控訴人茂木健一については昭和五五年一二月三日から、控訴人株式会社金星水産星屋商店については同年一〇月二四日から、各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  被控訴人高橋秀隆、同笠原純子に対し、各金三五六万四二一六円、及び内金三二六万四二一六円に対する控訴人茂木健一については昭和五五年一二月三日から、控訴人株式会社金星水産星屋商店については同年一〇月二四日から、各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  控訴人安田火災海上保険株式会社は、

(一)  被控訴人高橋ひさに対し、金三九一万六五九七円及びこれに対する昭和五五年一〇月二四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  被控訴人高橋秀隆、同笠原純子に対し、各金三二六万四二一六円及びこれに対する昭和五五年一〇月二四日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

3  被控訴人らの控訴人茂木健一、同株式会社金星水産星屋商店、同安田火災海上保険株式会社に対するその余の請求及び控訴人富士火災海上保険株式会社に対する請求を棄却する。

二  訴訟費用は、第一、二審を通じ(附帯控訴に関する分を含む。)、被控訴人らと控訴人茂木健一、同株式会社金星水産星屋商店、同安田火災海上保険株式会社との間に生じた分はこれを三分し、その二を被控訴人らの、その余を右控訴人らの各負担とし、被控訴人らと控訴人富士火災海上保険株式会社との間に生じた分は被控訴人らの負担とする。

三  この判決の被控訴人らの勝訴の部分は、仮に執行することができる。

事実

第一申立て

一  控訴人ら

「1 原判決中控訴人ら敗訴の部分を取り消す。

2 被控訴人らの請求を棄却する。

3 本件附帯控訴(当審における拡張請求を含む。)を棄却する。

4 控訴費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求める。

二  被控訴人ら

「1 本件控訴を棄却する。

2 附帯控訴に基づき原判決を次のとおり変更する。

(一)  控訴人茂木健一、同株式会社金星水産星屋商店は、各自、被控訴人高橋ひさに対し金一三〇四万七四二二円、被控訴人高橋秀隆、同笠原純子に対し各金九三二万六三三四円、及び右各金員に対する控訴人茂木健一については昭和五五年一二月三日から、控訴人株式会社金星水産星屋商店については同年一〇月二四日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  控訴人安田火災海上保険株式会社は、被控訴人らに対し、各金五三三万三三三三円及びこれに対する昭和五五年一〇月二四日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(三)  控訴人富士火災海上保険株式会社は、被控訴人らの控訴人株式会社金星水産星屋商店に対する本判決が確定したときは、被控訴人高橋ひさに対し金一〇六四万〇〇八九円、被控訴人高橋秀隆、同笠原純子に対し各金六二二万一八〇一円、及び右各金員に対する各昭和五五年一〇月二四日から各支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(四)(1)  控訴人茂木健一、同株式会社金星水産星屋商店は、各自、各被控訴人に対し、被控訴人ら全員の最終的な認容額の合計額に応じて「弁護士報酬規程第一八条による民事事件の着手金・報酬金早見表」によつて算出される着手金及び報酬金の額の三分の一に相当する金員を支払え。

(2)  控訴人富士火災海上保険株式会社は、被控訴人らの控訴人株式会社金星水産星屋商店に対する本判決が確定したときは、各被控訴人に対し、右(1)と同額の金員を支払え。

3 控訴費用は第一、二審とも控訴人らの負担とする。」との判決及び仮執行の宣言を求める。

第二主張及び証拠関係

次のとおり加削、訂正するほか、原判決事実摘示及び当審記録中の書証目録、証人等目録の記載と同一であるから、これを引用する。

一  原判決七枚目裏三行目の「一九七万二三九六円」を「一九六万四四九四円」と、同五行目の「一九〇万九九八六円」を「一九〇万二〇八四円」と、それぞれ訂正する。

二  原判決七枚目裏末行の「一一九四万円」を「一二四六万八〇一〇円」と、原判決八枚目表四、五行目の「八万三〇〇〇円」を「八万三〇〇〇円余」と、同六行目の「一六万七〇〇〇円」を「一六万六七三一円」と、同八行目の「五四六万円」を「六〇〇万二三一六円」と、同末行の「そこで」から同裏五行目末尾までを「右期間の休業損害は、前記の所得額を基礎とすると、六〇〇万二三一六円となる。」と、同六行目の「六四八万円」を「六四六万五六九四円」と、原判決九枚目表初行の「次の」から同三行目末尾までを「金六四六万五六九四円となる。」と、それぞれ訂正する。

三  原判決九枚目表四行目及び七、八行目の各「五四九万円」を「一〇〇〇万円」と訂正する。

四  原判決九枚目裏六行目の「六六四万九六三二円」を「八三二万六三三四円」と訂正する。

五  原判決九枚目裏八行目の「四〇〇万円」を「三〇〇万円」と、同九行目の「二〇〇万円」を「一〇〇万円」と、それぞれ訂正する。

六  原判決一〇枚目裏一、二行目の「一三三七万〇七二〇円」を「一四〇四万七四二二円」と、同二、三行目の「八六四万九六三二円」を「九三二万六三三四円」と、それぞれ訂正する。

七  原判決一〇枚目裏五行目の「一一一八万八八八二円」を「一三〇四万七四二二円」と、同六行目の「八六四万九六三二円」を「九三二万六三三四円」と、それぞれ訂正する。

八  原判決一一枚目表七行目の「原告らの」から同九行目の「残額である、」までを削除し、同一〇行目の「五八五万五五四九円」を「一〇六四万〇〇八九円」と、同末行の「三三一万六二九九円」を「六二二万一八〇一円」と、それぞれ訂正する。

九  原判決一一枚目裏三行目の後に行を改め次のとおり附加する。

「なお、被控訴人らは、被控訴人ら訴訟代理人に対し、本件の第一、二審受任の着手金及び報酬金として、終局的な認容額に応じ弁護士報酬規程一八条一項によつて定まる標準額を、被控訴人らが認容された損害賠償金全額を受領したとき速やかに支払うことを約した。

そこで、被控訴人らは、控訴人茂木、同金星水産に対し、弁護士費用負担による損害の賠償として、各被控訴人につき右約定により認容額の合計額に対応する着手金及び報酬金の額の三分の一の金額の各自支払を、控訴人富士火災に対し、本判決の確定を条件に、右着手金及び報酬金の額の三分の一の金額の支払を、それぞれ求める。」

理由

当裁判所は、被控訴人らの本訴請求は、(一) 控訴人茂木、同金星水産に対し、(1) 被控訴人ひさにおいて、金四二一万六五九七円及び内金三九一万六五九七円に対する、控訴人茂木につき昭和五五年一二月三日から、控訴人金星水産につき同年一〇月二四日から各支払ずみまで年五分の割合による金員の各自支払を求める部分、(2) 被控訴人秀隆、同純子において、各金三五六万四二一六円及び内金三二六万四二一六円に対する、控訴人茂木につき昭和五五年一二月三日から、控訴人金星水産につき同年一〇月二四日から各支払ずみまで年五分の割合による金員の各自支払を求める部分、(二) 控訴人安田火災に対し、(1)被控訴人ひさにおいて、金三九一万六五九七円及びこれに対する昭和五五年一〇月二四日から支払ずみまで年五分の割合による金員の支払を求める部分、(2) 被控訴人秀隆、同純子において、各金三二六万四二一六円及びこれに対する右同日から各支払ずみまで年五分の割合による金員の支払を求める部分は、いずれも理由があるから、右の限度においてこれを認容すべきものであり、その余の部分は理由がないからこれを棄却すべきものと判断するが、その理由は次のとおり訂正、附加するほか、原判決理由説示と同一であるから、これを引用する。

一  原判決一五枚目表二行目の「ここにおいて」から同四行目の「転把して」までを「このとき、第二車線上の前方を走行しているものと思つていた被害車両が実は停止して第二車線を塞いでいることを前方約一四メートルに迫つて発見したため、あわててハンドルを左に切り戻し」と訂正する。

二  原判決一七枚目表六行目の「一一月」を「一二月」と訂正する。

三  原判決二三枚目裏五行目の「至つたもの」を「至つたものであり、右事故は石造の死亡に対しても少なくとも間接的原因となつている」と訂正する。

四  原判決二四枚目裏末行の「直接原因」を「直接間接の原因」と訂正する。

五  原判決三一枚目裏五、六行目の「四〇パーセント」を「五〇パーセント」と、同七行目冒頭から同九行目末尾までを「被控訴人ひさの損害額は金七〇二万三七一一円となり、その余の被控訴人らの各損害額は金四六六万三一六七円となる。」と、それぞれ訂正し、同九行目の後に行を改め次のとおり附加する。

「当審における鑑定の結果中には、石造の精神障害に対する関与因子としては、本件事故に比べ前記一酸化炭素中毒の方が考えやすい旨及び右両者以外にも何らかの因子が関与したことを否定しがたい旨述べる部分があるが、右鑑定の結果も、本件事故の関与を全く否定するものではなく、また右両者以外の関与因子の存在を明確にするものでもないから、未だ右判断を左右するに足りない。」

六  原判決三二枚目表六行目の「右損害の一〇パーセントを」を「前項において減額した金額からその三〇パーセントを」と、同八、九行目の「七五八万五六〇七円」を「四九一万六五九七円」と、九、一〇行目の「五〇三万六二二〇円」を「三二六万四二一六円」と、それぞれ訂正する。

七  原判決三二枚目裏四行目から原判決理由の末尾までを次のとおり訂正する。

「八 弁護士費用

被控訴人らが被控訴人ら訴訟代理人に対し、本訴の提起及び追行を委任していることは当裁判所に顕著である。そして、弁論の全趣旨によれば、被控訴人らは右委任の報酬として被控訴人ら訴訟代理人に対し、本訴認容額に対応して、少なくとも東京弁護士会の定める基準額の報酬の支払を約したことが認められるところ、前記のとおり、被控訴人ひさについての認容額は三九一万六五九七円、被控訴人秀隆、同純子についての認容額はそれぞれ三二六万四二一六円、その合計額は一〇四四万五〇二九円であつて、成立に争いのない甲第一六号証及び弁論の全趣旨によれば、右金額に対応する弁護士報酬金(着手金を含む。)の額は、事件の難易性をも考慮して、九〇万円と認めるのが相当である。したがつて、右金額を被控訴人らの人数に応じて按分すれば、被控訴人らにつきそれぞれ三〇万円となり、右三〇万円についてはその全額を本件交通事故と相当因果関係ある損害と認める。

九 そうすると、被控訴人らの本訴請求は、(一) 控訴人茂木、同金星水産に対し、(1) 被控訴人ひさにおいて、本件交通事故による損害賠償金として金四二一万六五九七円及び弁護士費用分を除く内金三九一万六五九七円に対する各訴状送達の日の翌日(控訴人茂木につき昭和五五年一二月三日、控訴人金星水産につき同年一〇月二四日)から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の各自支払を求める部分、(2) 被控訴人秀隆、同純子において、本件交通事故による損害賠償金として各金三五六万四二一六円及び弁護士費用分を除く内金三二六万四二一六円に対する右各訴状送達の日の翌日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の各自支払を求める部分、(二) 控訴人安田火災に対し、自賠法一六条一項による損害賠償額の請求として、(1) 被控訴人ひさにおいて、自賠責保険の死亡保険金限度額(本件事故当時一五〇〇万円)を相続分により按分した各金五〇〇万円の範囲内である金三九一万六五九七円及びこれに対する同控訴人に対する訴状送達の日の翌日である昭和五五年一〇月二四日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分、(2) 被控訴人秀隆、同純子において、右同様の金額の範囲内である金三二六万四二一六円及びこれに対する右訴状送達の日の翌日である昭和五五年一〇月二四日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は、いずれも理由があるからこれを認容すべきものであるが、被控訴人らの控訴人茂木、同金星水産、同安田火災に対するその余の請求は理由がなく、また、控訴人富士火災に対する請求は、前述のように被控訴人らについての認容額の合計額が控訴人安田火災の保険金額の限度内である以上、理由がないから、これを棄却すべきものである。」

よつて、本件控訴及び附帯控訴に基づき原判決を本判決主文第一項のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 森綱郎 河邊義典 清水信之)

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